法律コラム
ちょっと嬉しかったこと。
今回も仕事とは無縁の話です。少し長くなります。
前にも書かせて頂いたのですが、30歳ころから一生懸命に音楽を聴くようになりました。聞いているのは主にジャズで、モダンジャズ一番盛んだったのがちょうどLP(レコード)の時代だったこともあり、たまにLPも買っては楽しんでいました。
当初からレコードは京都で手に入れていました。主に行っていたのは、京都市役所横の古い雑居ビルに入った「ホットライン」というお店でした。大量のLPがリーズナブルな価格で売られていて、年配の店員さんが交代でレジに詰めていました。
CDの方が安く容易に入手できることもあって、レコードから遠ざかっていた時期もありましたが、また5年くらい前から熱心にレコード屋を回るようになりました。また「ホットライン」にも足繁く通うようになりました。
そうしたところ、2年ほど前、突然何の前触れもなく、「ホットライン」が閉店してしまいました。びっくりしましたが、店員さんも皆さんそれなりにご高齢でしたので、仕方ないかと思いました。それからは、レコード屋巡りをしていて、取り外されずに残ったままの「ホットライン」の看板を見ては、何だが切ないような気持ちになっていました。
そうした中、実は「ホットライン」が近くに移転したことを、つい先日、ユーチューブで知りました。いつもの「おじいちゃん」(72歳)が店主で、インタビューにこたえていました。コロナ禍で家賃の捻出もままならなくなって、やむなく37年間やっていたテナントを出て、自宅アパートの一角に店を移したこと、廃業も考えたものの、京都のレコード文化を支えたくて店を続ける決心をしたこと、とはいえ、経済的に苦しいことからクラウドファウンディングで資金を募ったこと、その結果、目標には届かなかったものの、70万円以上の資金が集まったことなどを知りました。
私は何だか胸が熱くなりました。70代になって新しいことに踏み出した、その勇気はもちろん、その思いを受け止めてクラウドファウンディングに応じた人が相当数いたという事実に。
私は、急いで最初の週末、移転した「ホットライン」を訪れて、LPを2枚買いました。それからも何度も足を運んでは数枚のLPを買い続けています。ほんのわずかの金額ではありますが、少しでもお役に立てればという思いで。
ジャズといえば、京都に「YAMATOYA」という有名なジャズ喫茶があります。1970年創業の老舗で、今でもご夫婦で切り盛りされています。店主は80歳を超えていますが、カウンターに入っています。奥さんも同じくご高齢ですが、配膳やレコードの係りをされいます。素敵だなと思います。
こんな風に年を取っても頑張っている人の姿を見ると、私自身とても励みになります。そこに到るまでには、きっと様々な困難があったはずです。それでも意義を感じ喜びをもって仕事を続けて来られたのだと思います。とても難しいことであり、とても素晴らしいことです。