東近江で離婚・相続・賠償・借金の法律相談なら八日市駅前法律事務所

法律コラム

2023年07月

最初は知らないことばかり。

我我弁護士も、最初は知らないことばかりです。でも、色々と事件を手がけ、その中で経験を積んで成長していきます。ひとりの家庭人・社会人として人生経験を積み重ねます。それは、他の仕事と同じです。
確かに、我我の仕事はいささか特殊ですし、それなりに法律の勉強はして司法試験には合格しています。ただ、司法試験の受験科目は、法律全体から見ればほんの一握りのものに過ぎません。社会には膨大な法律があり、実際の事件を処理するには、そうした法律の理解が必要になります。また、対象となる法律が、裁判の場で、あるいは、実際の社会でどのように解釈され運用されているのかという理解も必要不可欠です。そこも試験に合格した段階では、ほとんど身についていません。専門であるはずの「法律」という分野でさえ、最初はこんな状態です。
「社会経験」や「社会常識」という面でも、最初は足りないことばかりです。特に私のように大学を卒業してすぐに法曹の世界に入ってしまった場合はなおのことです。「対人関係」についても同様のことが言えます(ここが最も困難ですが)。年配の相談者さんや依頼者さんから見れば、自分の息子や娘くらいの、ちょっと法律に詳しいだけの社会常識にいささか欠けた人間というように見えているのではないかと思います。その認識に誤りはないと思います。
そんな状態で、「裁判官」や「検事」「弁護士」になるわけですので、考えてみればかなり怖いことです。それでも裁判官や検事は、経験豊富な先輩の指導をこってりと受け、組織的に鍛えられるのでまだマシですが、我我弁護士は様々です。正直ビクビクものであり、「弁護過誤保険が心の支えだ」と豪語している先輩弁護士もおられました(今では立派な先生になっておられます)。
でも、実務に出たら一人前です。「知りません」では済まされませんし、失敗は基本的に許されません。そこで、我我は、現場に出てから必死になって調べることになります。その都度、その都度、必要な法律等の法規を調べ、関連する実社会の手続きを調べ、どう物事を進めるべきなのか考えます。専門家(他の士業の先生方)に意見を求めたり、依頼者さんに業界ルールや事件処理に必要な周辺知識をみっちりと教えて頂きます。そうして、できるだけ怖い目に遭わないようにと必死に頭を働かせるのですが、それでも時には失敗し、痛い目に遭います。すると今度は、それが致命的な失敗にならないようにと、また必死に頭を働かせます。
きりがないと言えばきりがありませんが、このようなトライ・アンド・エラーを積み重ねて、我我弁護士は少しずつ法律家として成長していきます。
また、研修を通じて専門的な知識を蓄えることもあります。弁護士の中には、特定の分野を興味を持って熱心に掘り下げ、希少な経験を積んで、その道の専門家といった力をつける方があります。そうして、その知識・経験を、日本弁護士連合会の会員向け講義を通して、我我一般の弁護士に分け与えて下さいます。地方で仕事をしている私などは、オンラインでそうした講義を受け、必要な知識を蓄えています。
そうして、最初は何も知らないところから、少しずつ成長していくわけです。私も少しは頼りになる弁護士に成長できていればよいのですが。